大津島にある人間魚雷「回天」の訓練基地は、全国に4ヵ所あった基地のうち当時の施設が現在も残っている唯一のものです。
訓練基地の前身は、1937(昭和12)年に開設された呉海軍工廠の魚雷発射試験施設で、当時日本海軍が世界に誇った高性能魚雷である九三式酸素魚雷の試験が行われていました。遺構のシンボル的存在となっているコンクリートの構造物は1939(昭和14)年に魚雷発射試験場として建設されたもので、総工費は当時の金額で83万円といわれています。
その後、九三式酸素魚雷をベースとして造られた「回天」の誕生とともに、訓練基地が1944(昭和19)年9月1日に開設され、9月5日から魚雷発射試験場を回天訓練施設として使用しました。
なお、この回天訓練基地(魚雷発射試験場)跡は2006(平成18)年に(公社)土木学会中国支部から「選奨土木遺産」として認定されています。